大凡のギタリスト、ニシイケタカシによる
三度目の雑記。
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焼肉

 先日、数年ぶりに焼肉を食べた。正確には、ある先輩にご馳走になった。食べ放題の類ではない<ちゃんとした焼肉>に最初しばらく面食らったが、お酒も入り、だんだんと調子に乗って終にはたいそうたくさん戴いてしまった。数名が集ったひとテーブルの面倒をみてくれた先輩の度量に感服した。何かでお返しをしなければ。

 焼肉での会話はどことなく祭事めいている。たとえばどの部位の肉をどの程度焼いているか、もしくは空白なのか、と「鉄網」の状況に気を配りつつする会話と、法事のおときなどを囲んだときに、神様なり故人なりの「祭壇」へ気を配りつつする会話の性質は少し似ている。他所に気を配っているので思考が弛緩し口も滑らかになるところなども似ている。焼肉にまつわる四方山話で、異性と焼き肉にいくのはちょいと良い仲だからだね、みたいな話にも少し合点がいく。

 と、ここまで書いて、たまのことなので、そんなふうに思っただけなのかも知れないという気がしてきた。考えるべきは、いい加減にワタシが面倒を見れるひとにならねばならぬということだろう。

 

■8月26日(土)@三鷹バイユーゲイト
出演:赤い夕陽、双六亭
open 19:00 / start 20:00
チャージ ¥2,000  (+1drink order)

■9月6日(水)@池袋フリーフローランチ
出演:江村健ゴウシュウズ、ニシイケタカシ
start 20:00
投げ銭ライヴです。

海水浴

 もう何年も海水浴にはいっていない。四十を越えてからは、江ノ島海岸縁に数度いったくらいか。先日、翻訳家の森田さんと西荻窪で飲んだとき、沖縄諸島のひとつで阿嘉島という小さな美しい島の紀行をきかせてもらった。ワタシはその島のことを全然知らなかったが、ああいいなあ、いってみたいものだ、と久しぶりに海へ素朴な憧憬のようなものを感じた。森田さんによると阿嘉島の珊瑚礁はたいへん壮観で、イエスの『イエス・ソングス』の中ジャケのイラストの世界といって過言ないそうだ。そんなわけで、久々に『イエス・ソングス』を聴いてみた。そういえばライヴアルバムだった。「And You and I」など聴いていると、どうも海よりも深い森が想起される。何だか今年も海にはいけない気がしてきた。

 

■7月15日(土)@池袋鈴ん小屋
出演:大なり><小なり直美ズ、双六亭
open 18:30 / start 19:00
前売り¥2,500 / 当日¥3,000 (+1drink order)

【ご予約】
ringoya@ringoya.org にて受付させていただきます。
件名に、7/15(土)予約とご記入の上、本文にお名前と希望枚数を添えてお送りください。

追いかけてきた過去/常体

 過日、出張で東京にきていた古い友人(教育関連官庁勤務)と久しぶりに会って話した内容が、「現在の工業高校は教員と生徒とその親御の関係がとても良好で、それは昨今の就職難ムードに対する警戒感が三者の〈結束〉を促している要因ではないか」や「田舎に俄にできたスポーツ関連強めの私立大が、某著名アスリートを講師に迎えたことで人気を博し、ここ数年で一気に学部を拡大し、周辺地域に結構な人口増と経済効果をもたらしてる」などなどだった。普段聞けない話題ばかりでとても面白かった。

 中でもとりわけだったのは、中学の時にワタシとつきあっていた女の子が、高校へ行ってからは同席したくなかったという理由で別の学校へ進学したという事実を知ったこと。三十余年の時を越えて生温く傷付いた。

 

■6月16日(金)@渋谷喫茶SMiLE
出演:Los Royal Flames、ソフテロ、双六亭
O.A 高田あっこ
open 19:00 / start 19:30
チャージ:1,500 (+1drink order)

■6月29日(木)@高田馬場ディグライト
出演:丸尾一平withクラッチプレイヤー+塚田直、
グランドルート・セントジョン(vo.森田義信、dr.中原由貴、ba.土屋晃、gt.ジェシ江戸シラス、gt.ニシイケタカシ)
open 19:00 / start 19:30
※投げ銭ライヴです。

ジャズを飲み込む/もう常体で定着しつつある

 4/19(水)赤坂グラフィティでのイベントにお越し下さった皆様、ありがとうございました。久しぶりのロック箱で大きな音量で演奏できたのはとても楽しかった。それはよかったけれども集客具合はなかなかキビシー状況。無意識の過当競争が煮詰まった感もある東京アンダーグラウンドの局所だからこそ、我々の活動にもっと興味を持ってもらえるよう知恵を絞っていかねばならない。何とか立て直したいと気持ちもあらたに。

 そんな当夜、久しぶりに(調べたら二○十五年二月以来だった)共演したNostaramaの演奏がとても素晴らしくて終始興奮させられ通しだった。Nostaramaはフォービートやシャッフルのリズムを中心にジャズライクなコードアンサンブルを自在に展開するジャズファンクの辣腕グループと言って差し支えないかと思う。余談だが彼らの地元は横浜。これだけの説明だと、もしかしたら少々身構えてしまう貴兄もいるかも知れない。かく言うワタシもいい歳をしてジャズには偏見と警戒心を少なからず抱えているリスナーだという自覚がある。にもかかわらず、Nostaramaを観てあんなに興奮したのは、俗にいう「ジャズっぽい」とされる音楽をそれなりにではあれ、いつの間にか「飲み込める」ようになっていたからなのかも知れない。もしそうなら自分は「ジャズっぽい」音楽をどうやって「飲み込める」ようになっていったのか、ちょっと考えてみた。

 私的観測で九十年代の初め頃、大凡マンチェ旋風のやや後くらいに所謂アシッドジャズブームとかがあって、多分に漏れず、ワタシはインコグニート、ブランニュー・ヘヴィーズ、等々のクラブジャズと呼称された音楽のレコードを棚の肥やし的に〈密かに〉ポツポツと購入したりしていたクチだった。とりわけクラビングに精を出したわけでもなく、でも幾度かは通って何となく周辺事情をくゆらしたり、『Kind Of Blue』も急いで聴いたけどモードとかよくわからなかったり、あまつさえ「ジャズとの距離のとり方がさあ」とか何とか言ったりしてサムシングわかった風をふかしたりしていたような気もする。要するに二十代に散見する軽薄で自意識過多の関西人だった。それでも「ルパン三世」をはじめとする大野雄二作品や、YMOからの捻れた文脈で消費していたカシオペアなどのクロスオーバージャズ関連、「ヒットソング」としてそれらに親しんでいたことで「ジャズっぽい」ものを「飲み込める」ための基礎聴力のようなものを多少は持っていた気もする。

 当時の景気の動向も政治や社会の有り様も見えていないのに気分だけはマイノリティで浮かれていた。九十年代は楽しかったが、ロックバンドをやることが生活の中心になってゆくにつれ〈○○として振る舞わなければならない〉といった原理主義的な何かに引きずりこまれていった。音楽を美味しく「飲み込む」振る舞いがともすると「悪」となり、それまでに多少なりとも持ちあわせていた基礎聴力に抑圧をかけていたことは残念ながら否めない。そうだ、そして抑圧を抑圧だったと客観できるようになるのは、生活の中心だったロックバンドが頓挫したときだった。何という遠回り。しかし、またワタシは性懲りもなくあらたなロックバンドを始めることになる。ジャズを美味しく「飲み込める」ことはまた先送りになってしまったのだろうか。

 あれから幾星霜。ブラックミュージックはもとより、守備範囲としているつもりのロックの体系も歴史認識もまだまだ茫漠としているような中年チンピラのワタシが、いまだに何とか音楽を続けている(いられる)所以は、経年によるそれなりの動体聴力(ムラはあるが)と、まだ辛うじて旺盛な妄想によるところくらいだろう。こんな脆弱な装備しかないままではあと何年できるか甚だ怪しい。だがおかげさまで抑圧はもうない。ジャズもロックももっとたくさん美味しく「飲み込み」たい。そのためにも、歳をとった今こそ「勉強」したい。ともかくこんな駄文長文を書くことになるまで興奮させてくれたNostaramaに感謝しなければ。また是非お手合わせ願います。

 

■5月21日(金)@国立地球屋
出演:山本慎也ブルースバンド、Berry、双六亭
開店 19:00 / 開演 19:30
チャージ:¥1,000 (+1drink order)

■5月27日(土)@池袋鈴ん小屋
『XTCトリビュート2017』
トーク:鈴木さえ子(音楽家)、麻田浩(トムス・キャビン代表)
ライブ:ETC(ニシイケタカシ、北山昌樹、Yonafy)
島へ行くボート(安部OHJI、Yonafy、小澤亜子 、黒田佳宏)、
アコースティック5mm(堀尾忠司+赤尾光代)
※総合司会:小暮秀夫
開場 11:30 / 開演 12:00
前売¥2,800 / 当日¥3,000(+1drink order)

 

開幕間近/常体が続く

 あまり大きな声では言えないのだが、ここ数年来、自分が阪神タイガースのファンであることを確認するのが憚られていた。かつては、関西人であること、オルタナティヴであること、カウンターであること、こそが自分の構えの根幹であり、虎党であることは、それらと密接につながっている、はずだった。それなのに。

 過日、友人の中でも最強クラスの虎党の猛者と久しぶりに話す機会があった。彼の変わらぬタイガースへの偏愛ぶりに触れ、憚られていた気分の在処が少し理解できた気がした。因みに彼は今も(きっとこれからも)迷いなき虎党だ。

 何が理解できたかを簡単に書くと、ワタシは、〇五年、陵辱の日本シリーズから逃げ続けていたということだ。〇三年の優勝以降、何か居心地が悪かった。Aクラスの定席となったタイガースとどう向き合っていいのかよくわからなかった。政権をとったはいいが右往左往し沈没していった民主党、及びその支持者と少し似ている。八十五年のシリーズ制覇以降続いた十八年間の「暗黒」と称された時間は、ワタシにとって、その実、甘美だったのだ。しかし、その時間はとっくの疾うに終わっていた。ともあれ、当人の感慨と関係なく、何かが終われば別の何かが始まる。何が始まっているのかは、今もってまだよくわかっていない。これから向き合ってゆくしかないだろう。

 閑話休題

 プロレスラーになれたらいいなあとか、プロ野球の選手になれたらいいなあとか、〈なりたい〉ではなくて〈なれたらいいな〉ばかりで特段何か熱心に取り組むでもなく、ただ茫漠と思って(願って)いただけの半生だった。もしかしたらこれからもそうなのかも知れない。ただ「超越者」に対する畏敬のようなものはずっと何処かに在る。憚られながらも人知れず彼らを応援していたりするのは、そういったあこがれによるのかも知れない。あまり大きな声では言えないのだが、今年もがんばれタイガース。

 

■4月19日(水)@赤坂グラフィティ
『HIGH BRIDGE GOES TO AKASAKA アカプリvol.44』
出演:Nostarama、月夜のパレード、双六亭
開場 19:00 / 開演 19:30
前売¥2,500 / 当日¥3,000(+1drink order)
※ご予約は info@tamacowolds.net 宛てに
お名前枚数を記入の上お知らせ下さい。

■5月21日(日)@国立地球屋
出演:山本慎也ブルースバンド、Berry、双六亭
開店 19:00 / 開演 19:30
チャージ:¥1,000 (+1drink order)